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  • vol.2 自分の存在意義 − 夢の街創造委員会株式会社 取締役副社長 阿部夏朗




御社の場合、はじめは別の証券会社が主幹事で、前々期を基準に出ようとされていたとお聞きしましたが(結果的には、三菱UFJ証券で2005年8月期を基準に上場)。

 それは、全然無理でした。前々期にあたる2004年8月期はまだ大赤字だったので、これを基準期に上場するのは相当にハードルが高い。バイオとかナノテクとかなら、まだなんとかなるかもしれませんが、当社のようなシンプルな業態で、なかなか、赤字上場というのは難しいですね。2000年の頃なら話は別でしょうけど、今じゃとても厳しいという状況でした。ただ、証券会社の営業マンは、ある意味それが仕事ですから、適当なことばかり言うわけですよ。「社長、すばらしい会社ですね。すぐに上場できますよ。ぜひ弊社を主幹事に」と。一流の証券会社から、上場できると、間違いないと言われたら、そうかなと思っちゃいますよね。証券会社も海千山千のような人たちばかりなので、そのようにして有望なベンチャーを囲い込みたいのだろうと思います。


上場のコンサルティングについてはどうだったのでしょうか。

 最初の証券会社の場合、コンサルフィーは取らなかったですね、新興市場の場合は。あくまで、この会社は社長がいい、商売が有望だ、株主もすごい、ということで良いなということになっていたんだと思います。ですから最初の一年間は、その大手証券会社と進めていました。それ以外のコンサルティングということですと、初めのうちはVCが紹介してくれた会社と契約していましたが、すぐに解約しました。レベルも低いですし、非常に怪しいというか、自分たちが情報を一手に握って証券会社とかも自分たちが対応して、うまいこと言うんですよ。社長は業務をやっていてくださいと。すばらしい会社なんですから、事業に邁進してくださいと。上場関係は私どもがやりますので会社に負担は一切かけません。普段どおりにやっていればいつの間にか上場できてますよと。そんなことはないんですけどね。上場とは書類を作ることだという感じでした。コンサルフィーは月額50万円程度とストックオプションでした。

 この状況下で、かつ管理部門の人数を増やさず、証券会社は大手証券で、市場はマザーズに、今期基準で必ず上場させて下さい、と言うので、「社長、それは無理です」と言ったら、「それが無理なのはあなたの能力が低いからじゃないですか」というようなことを言うので、「それは違います、客観的に無理なんです」と。「証券会社は可能だって言ってるじゃないですか、○○証券ができるって言っていてあなたができないというのはおかしい」と、「どう説明するんだ」というやりとりを喧々諤々として、もう言い合いの喧嘩を何回もして、それでだんだん分かり合っていって、ということでしたね。


やっぱり大事ですよね。そこでぶつかりあえる人がいるというのは。

 僕も前の会社で学んだことですけど、途中から入っていくということで、遠慮する部分というのは必ずありますが、せっかく高いポジションで高い給料で行く訳ですから、社長のイエスマンになったら意味ないと思うんですよね。イエスマンだったら、もっと安い給料で雇えるんで、イエスマンが欲しいならどんどんどんどん雇ったらいいんです。

 だから、自分の利益とかは考えずに、会社にとって、どういう道が一番正しいのかということに信念をもって、社長と戦わないと駄目だなと思って。「煮るなり焼くなり好きにしてください」「気に食わなかったら首にしてください」「別に僕は職に困っていません」という気持ちでぶつかりました。


なるほど、上場準備ということに限りませんが、組織には必ずそういう存在が必要なんですよね。でも実際にはなかなかいないので、それだけ貴重だということになるのだと思います。阿部さんの経歴について、ワイズよりさらに遡った頃のことをお聞きしたいのですが。

 最初2年間働いていたけど、官公庁向けの仕事をしているとだんだんむなしくなってしまったんです。予算に余裕があるので、必要じゃなくてもシステムをどんどん作っちゃうんですよ。これって本当にためになっているんだろうかっていうところで結構自分の中で疑問になってきて、それで部署を異動させて欲しいということで戦略グループという部署に異動させてもらいました。そこでは企業の経営戦略というか事業戦略を考えてお金をもらうというのが仕事でした。主に通信関連が多かったんですが、携帯会社のキャリア向けのコンサルティングや大手の電気機器メーカーなどのコンサルティングを2年ぐらいやっていました。そのあと、ワイズにいきました。コンサルティングからもっとリアリティのあるビジネスにいこうということです。

 それが26歳の時です。ワイズの上場時は28歳ですね。


--------------------【阿部 夏朗氏プロフィール】--------------------
1975年7月19日 東京都に生まれる。
1998年3月  東京工業大学工学部経営システム工学科卒業
1998年5月  アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)入社
2002年8月  株式会社ワイズテーブルコーポレーション入社
2002年10月 同社経営企画室長
2004年10月 夢の街創造委員会株式会社 入社 取締役就任
2004年11月 同社取締役副社長就任(現任)

夢の街創造委員会株式会社

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インタビューINDEX
vol.1 取締役としての事業参画
vol.2 自分の存在意義
vol.3 ベンチャーでの挫折を経験して
vol.4 経営者感覚とオーナーシップ

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